授業報告
歴史を学ぶための
基本的な姿勢を持たせるための指導の工夫


高橋智之(岩手県公立小学校教諭)

はじめに

「歴史」というと、一般的にどんなイメージの教科だろうか。「何年に何があった」と言ったことを覚える教科というイメージが強いかもしれない。それはそれで大事なことだが、それだけが学習の目的ではない。

それでは、児童が「歴史を学ぶ」ことについてどのようなイメージを持てばよいのだろうか。私は、次のように考える。
歴史は、他人事ではなく自分たちとつながる祖先の物語である。    
歴史は、無味乾燥な事実の羅列ではなく、その当時生きた人々の喜びや苦しみの積み重ねである。
と同時に、その時代時代に制約されながらも必死で生きた先人の決断の積み重ねでもある。比喩的な表現をすれば、歴史には熱い血がながれているのである。

自分たちはそのような歴史を受け継いでいること。やがては、自分たちの歴史を受け渡すことができるようになること。 歴史を学ぶことを好きになってほしい。歴史に「ワクワク」を感じてほしい。できれば、歴史の一時間目の授業で、子どもたちがこのような気持ちになってもらえればうれしいと思う。


オリエンテーション(歴史学習の第一時間目の授業)の実践と考察
     

(一)授業の展開

@ およそ、一六〇〇年前に、日本の国が出来てから今に至るまで、日本の国を守り支えてきた歴史上の人物四二人を中心に、これから七〇時間ほど歴史の勉強をします。
A 系図のプリントを見てください。系図を見て思ったことを発表してください。

(資料一)
B ご先祖様は、時代をさかのぼっていくごとにどんどん増えていきますね。  
C この時代は、ご先祖様は何人いたと思いますか。(二、三回) 

(資料二)              
D 一世代三〇年としてさかのぼるとこのようになります。
E 鎌倉時代の日本の人口は何人くらいだと思いますか。(資料三)
F 正解は約一一〇〇万人です。きっと、みんなのご先祖は、何処かで重なっていたことになりますね。昔は、みんな親戚だったことになりますね。
G 昔に、生きていた人は皆さんの先祖も含めて、たくさんいるんですが、その中で、自分が好きな(知っている)歴史上の人物は誰ですか。
H その人が生きた時代、あたのご先祖も必ず生きていました。力を合わせて、私たちの国を守り育ててきました。もし、(系図になバツ印を書きながら)がいなかったら、先生はいません。あなたも、あなたもそれは同じです。
I 相田みつをさんのという方の詩 を紹介します。(資料四)
J ご先祖様への感謝の気持ちを持 ちながら歴史を学んでいきましょう。


(二)児童の感想

(1)自分の先祖が一億人いたなんてすごいと思いました。約一億人の先祖の中に、歴史上の人物がいたら自分は有名人のすごーい孫の孫になる。それだったらいいなと思いました。
(2)ご先祖様からもう自分が生まれるまで、バトンを渡しているんだと分かりました。もし、自分が祖先になるんだったら、ちゃんとバトンを受け取ってもらいたいと思います。
(3)僕がビックリしたのは、祖先が一億人もいたことです。もっと歴史を勉強して、もっといろいろなことを知りたいです。
(4)僕は、ずっと昔のご先祖様からみんなに続いて生まれてきたのかもしれない。一人でもいなかったら生まれてこなかったかもしれない。だけどみんな続いてきたから今ここに生まれている。
(5)僕を作ってくれた祖先に感謝しています。もしおじいちゃんやおばあちゃんがいなかったら僕は生まれていません。
(6)みつをさんの詩を読んで僕はそのバトンをつなげないといけないと思いました。
(7)自分たちの先祖が一億人もいることがすごいと感じた。歴史をもっと勉強したい。
(8)できれば、私のご先祖様を見てみたいと思いました。
(9)僕は、歴史を通して命のバトンをしっかり引き継ごうと今日の社会で決めました。
(10)歴史はこれからもまだまだあるので学校の勉強のほかに、自分で歴史を調べてみたいです。
(11)勉強をしてみて、自分たちを作くってくれたのはご先祖様なんだと思いました。
(12)先祖が自分の顔と似ていたらおもしろいなと思いました。前から、歴史は早く習いたいなと思っていましたが、実際やってみてますます歴史を習いたくなりました。
(13)歴史上の人物だけでなく、自分たちの祖先もいたから今の自分もいるんだと思った。自分も家系図の内の一人だということが分かって、社会の勉強をがんばっていこうと思った。


(三)成果と課題
         
○ご先祖の人口統計資料は児童が興味を引くネタとして有効であった。
○自分の系図を書かせる作業を通して、歴史上の有名人物が生きていた時代に自分の先祖も何処かで生きていたを意識させ、歴史を身近に感じることができた。

●教師の発問、指示が展開案の通りに行かず、くどい説明になった部分があった

※高橋さんは岩手県の小学校に勤務しており、全国大会にも参加し小学校での「特攻隊」の実践報告は注目されました。 この実践は、齋藤武夫著「学校で学びたい歴史」を追試したものです。

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