授業報告
漢字の秘密を伝えよう(3)

竹内孝彦(千葉県公立小学校教諭)

一、はじめに

第一次は「ゲストティーチャー、そして各担任に漢字の秘密についてのお話を聞く」、そして、帯単元として「マイ漢字辞典作り」を行ってきて  いる。今回は、第二次の「伝えたい漢字の内容ごとにパビリオンを作る」と、第三次の「漢字博を開催する」について紹介したい。


二、伝えたい漢字の内容ごとに展示館(パビリオン)を作る

    漢字に関する図書を廊下に設置しておき(二百冊ほど)、それと、自分の漢字辞典とを併用させながら、おもしろい漢字の秘密に出会えたら    、次のページに付箋を貼らせた。
     毎日、付箋の貼られた本をコピーするのは手間がかるが、「短かい時間でより多くの資料を集めることができた。」「全て漢字辞典から始め   ると難しいが、漢字に関する本には漢字のおもしろさがうまくまとめられているので参考になった。」という声が聞かれた。

ある程度、自分の方向性が見えてきたところで、自分のテーマと発表の仕方をワークシートに書かせた。
 次に、似た課題同士で四、五人のグループを作らせた。会社の組織のように、社名、そして、社長、部長、広報課長といった役職、マーク、キ    ャッチフレーズを考えさせる。
 

(会社名・キャッチフレーズの例)
   

○成り立ち国部首劇場
 部首の成り立ちを教えます。

○漢字戦隊漢レンジャー会社
 ぼくたちの話を聞けば漢字博士に!

○漢字万博ランド会社
 読み方や意味をくわしく教えるよ。

○カンジックショー会社
 ここにくれば君も漢字の読みが得意になるぞ。

発表の内容は、次の二つの型を与えた。説明型と参加型である。説明型は、漢字の秘密をとっくりと語る部分である。その語りのなかには、クイズやお客さんとの問答を取り入れさせた。

参加型は、お客さんに楽しんでもらえる企画を考えさせた。クイズの豆本づくり、かるた、ビンゴやカードゲームである。

説明型と参加型とでは、もちろん説明型に重きをおいた。「漢字の秘密を伝えよう」がこの学習のめあてだからである。説明型は一人一人に行わせたが、
原稿がしっかりと諳んじた子から、参加型のカードゲーム、パズル、本作りに取り組ませた。


三、漢字博を開催する

いよいよ漢字博開催の準備に入る。
体育館をボードで仕切ってブースを二十作る。二学級七十名が発表し、残る二学級がお客さんとして聞く。つまり、四人のグループのお客さんは四人ということになる。これでは、やや張り合いが少ない。
そこで、六年生の二学級にも来ていただくことにした。六年生ならば、親身になって聞いてくれるであろうし、鋭い質問を浴びせてくれるだろうと考えたのである。

【成り立ち館・漢字戦隊漢レンジャー・東里健一君(仮名)】

ぼくは漢字戦隊漢レンジャーというグループです。僕たちは九月から漢字の色々な事を学んできました。僕は、漢字の色々なことを学んでいると、漢字は楽しいなと思いました。漢字博で発表した文章は、このようなものです。

僕は、部長です。九月から僕たちは漢字のことを色々と調べてきました。それをこれから発表します。
早速ですが、問題です。この四角の中には、何の部首が入るでしょう。

(問題?)

正解は、僕の発表を聞いているとわかります。

ぼくは、「三水」の漢字について発表します。「三水」は、(図 三水の象形)
このような水の流れが変わっていき、今の形になりました。なので、「三水」は水をあらわしています。「三水」のなかで僕が選んだ漢字は、「清」と「漁」と「泳」です。「清」は「きれい」という意味です。なので水が青くてきれいだという意味なのかなと思いました。

次の「漁」と言う字には、「漁師」という熟語があります。なので水のなかに魚をとりにいく意味かなと思いました。

最後の「泳」は、水泳という熟語があります。「泳」は、「三水」と「永」との組み合わせです。「永」には、「永久」という熟語があります。長いという意味です。また、成り立ちを調べると、川の流れを表していることが分かりました。なので、水の中に長くもぐっている意味かなと思いました。

みなさん、僕の発表はどうでしたか。これで、僕の発表を終わります。

質問の時は、
「何で『漢』は、『三水』なんですか。」
というとても鋭い質問をもらいました。そのときは、
「後で調べておきます。」
と言いましたが、「漢水」という中国の川の名前から来ていることがわかりました。

【音訓意味館・なるほど音訓会社・漢相馬隆盛君(仮名)】

はい「なるほど音訓!会社」の司会案内役の相馬隆盛です。
まずは、名前を音読みにしてみましょう。僕の名前、相馬隆盛を音読みにすると、
・・・はい「ソウバリュウセイ」になります。
はい次、自分の担任の先生、竹内孝彦先生は、
・・・「チクナイコウゲン、はい次、川内一正先生は、「センナイイチショウ」。

次は、片仮名を漢字にしてみましょう。まずは、「バカンス」それは、「場感州」。こうなります。次は、「マジシャン」。これを漢字にすれば、「魔法人」となります。言い忘れましたが、これは自分で考えたもので、信じたら嘘つきになります。

次は、「サーファー」。これは、「波乗人」となります。次は古いですけれど、「ウルトラマンコスモス」です。これは、「雨溜虎万秋桜」です。本当は、「コスモス」は「宇宙」なんですけれど、おもしろくするために変えておきました。みなさんも漢字で盛り上がってみてはいかがですか。

【熟語館・愛熟語博会社・新嶋姫子さん(仮名)】

私は、新嶋姫子です。私は、数字が入った熟語を中心に紹介します。まず、一期一会です。知っている人は多いですよね。意味は一生に一度の出会いということ。正式的な作法よりも、主人と客人との心の結ばれ方を大切にした茶道の心得から出来た言葉です。

次は、「八方美人」です。これも、聞いたことのある人がいるかもしれません。意味は、どこから見てもけちのつけようのないほどの美人ということから、誰からも良く思われようと愛想をふりまくことです。

次は、「一心不乱」です。この意味は、一つのことに熱中し、打ち込むことです。「一心」は気をそらさない、「不乱」は他のことに乱されないということです。

この他に面白いと私が思ったのは、器用貧乏です。さて、なぜ貧乏なのでしょう。
 @とても器用だけれど、貧乏だということ。
 A何でも器用に出来るので、いじめられること。
 B何でも器用に出来るので、逆に一つのことが上手くいかないこと。

どれでしょう。正解だと思うものに手を挙げてください。
答えは、Bの「何でも器用に出来るので、逆に一つのことが上手くいかないこと。」です。
他にも紹介したいのですが、時間がないので、この豆本にまとめました。欲しい人に配ります。

(参観者の声)

○漢字辞典を読み、そこから気づいたことを語っていた。漢字辞典を使ったおもしろい学習の単元が見られて、辞典を新しく作ろうと企画するうえで、大変参考になった。

○三、四年生になると、漢字の好き嫌いが二極化してくる。この時期に、漢字辞典を楽しく読む学習を取り入れてもらいよかったと思う。


四、まとめ

これを機会に、漢字辞典を楽しく読むことができた。今回は、漢字の成り立ち、音訓意味、熟語と範囲を広げた分、指導がきつかった。例えば、成り立ちのみに限定して取り組むのもいいと思う。

イベント的に行うことで、漢字を楽しく学ぶ共同体意識が芽生えてきた。
漢字嫌いだった子が、大勢漢字好きになり、文中に努めて漢字を使おうとするようになった。何よりの収穫である。


★実践例の様子

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