台北很好!其の二
肌で感じる親日の国=台湾


佐藤民男(台北日本人学校)

テレビ番組に見える親日度

台湾にいても当然、毎日テレビは見ている。そのテレビについて次に話そう。

台湾のテレビはケーブルで、約百のチャンネルがある。それらのほとんどが中国語(北京語)の放送である。しかし、この中になんと四局もの日本語専用チャンネルがある。「NHK」を筆頭に、「緯來日本台」「JET」「國興衛視」という日本のテレビ番組を専門にしているチャンネルがある。特に後者三局は、「NHK」と異なり、すべてに中国語字幕がつく。台湾人が見ているからだ。『料理東西軍(どっちの料理ショー)』『寵物當家(ポチたま)』など、日本の少し前のテレビ番組(バラエティ・ドラマ・アニメ)を一日三回ほどくり返し放送している。

なかでも台湾で昨秋大ヒットしたのが、ドラマ『白色巨塔(白い巨塔)』である。月曜から金曜日まで連日放送した。それで人気が急上昇し、その後一ヶ月経たずに総集編を含めて再放送した。それだけではない。新年になり何気なくチャンネルを回していると、またもや『白色巨塔』の総集編をやっていた。総集編はこの短期間に計三回も放送したことになる。これにはさすがに恐れ入った。 当時は、本屋にも山崎豊子の同名小説(中国語版)が平積みされた。それだけ見ても『白色巨塔』の人気のほどがよくわかった。 全くの余談だが、その頃、小学三年生の私の学級にも『白色巨塔』の影響が出、男子が「財善教授、手術です!」などと言いながら、くすぐりっこをよくしていた。

ところで、先に述べた通り「NHK」だけは中国語字幕はつけず、完全な海外日本人向けの放送している。しかし不思議なのが、上記の日本語専用チャンネルで「NHK」の連続ドラマをちゃっかり放送していることだ。『おしん』など昔のドラマをはじめ、最近では藤原紀香主演『結婚行進式(結婚のカタチ)』を連日放送している。

年末の『NHK紅白歌合戦』の放送もおもしろかった。まず大晦日で流し、元日の午前中にも放送があった。それだけではない。旧正月には、「緯來日本台」で中国語字幕付『NHK紅白歌合戦』が放送された。結局、民放と合わせて三回も『NHK紅白歌合戦』は放送された。

昨年は「NHK」の不祥事で受信料が大幅に減少したという。私はここ台湾で当然受信料を払っていない。いったい「NHK」の受信料のしくみはどうなっているのだろうか。台湾で謎がいっそう深くなった。以上、脱線し続けてしまったが、台湾における親日度の高さは、日常のテレビにおいても、非常によくわかるのである。台北に住んで、一年が経とうとしている。この間、日本人(外国人)として嫌な思いをしたことが一度もない。

街をぶらぶら歩いていても差別的な目で見られることはないし、台湾人から暴言を吐かれたことももちろんない。逆に、さまざまなところで日本人としてわかった上で、話しかけられたり助けられたりしたことが多くある。 来台前から「親日の国=台湾」ということは当然知っていたが、一年住んだ今、そのことを強く肌で感じている。


台湾人の接し方に見える親日度


タクシーに乗る。日本人とわかると、ラジオやテープを日本の音楽に代える運転手がいる。そんなタクシーには何回も巡り会った。 親日のおかしな運転手に出会ったこともある。同僚三人と乗車した時のことだ。いきなりソプラノ歌手が歌う「ふるさと」のテープを流し出し、日本語でいっしょに歌い始めたのだ。仕方なく私達もいっしょに歌ったのだが、タクシー内は臨時のカラオケボックスになってしまった。

また、タクシーといえばこんなことを運転手に言われたこともある。
「台湾人は日本人を好きな人が多いよ。でも中国人は好きじゃない」
覚えたての片言の中国語で会話したのだが、運転手は確かにそう言った。運転手の政治的立場がよくわかる一言であった。が、どんな立場であれ、彼が親日であることには変わりがない。そして彼もまた、わざわざ日本の音楽が流れるラジオ番組を流してくれた。

別の話をしよう。台北駅近くの牛丼屋「吉野家」へ入った時のことである。豚丼を食べていると、一人の年配のおじさんが日本語で話しかけてきた。
「それ、牛丼?」
「いえ、豚丼です」
その後、注文をし終えたそのおじさんは私の隣に座り、本格的に話しかけてきた。

「今、日本では牛丼はいくらかね。台湾と変わりないかい?」
あまりにも流暢に日本語を話すので、てっきり日本人かと思っていたら、れっきとした台湾人であった。何でも十数年前に日本に留学していたという。

不思議なのだが、こんな感じで、黙っていても台湾人から日本人と見られ、日本語で話しかけられることがよくある。でも、冒頭に述べたように、それで不快な思いをしたことは、まだ一度もない。形や程度の違いはあれ、台湾に住む日本人の誰もが「親日の国=台湾」と感じている(はずである)。その裏には、こうした日々の生活での台湾人の日本人に対する些細な行為が大きく影響しているのである。

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