無念の授業
「沖縄戦集団自決の真実」

服部 剛(横浜市公立中学校教諭)/報告者・文責:竹内孝彦
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六月四日の夕、生憎の雨模様であったが、会場の文京区民会館は、百名近い人でほぼ満席となった。左右には報道陣も詰めかけている。 「沖縄タイムス」「日本テレビ沖縄支局」「産経新聞」「読売新聞」等が取材する中、まさに緊急集会といった緊迫した空気が流れていた。
会場には、椅子が並べられているが、真ん中の四十席には机が用意されている。この席に座る方は、中学生役として模擬授業に参加していただくことになっている。
まず、服部剛氏は、この授業づくりをした動機について次のように語る。
「歴史的事実としてさもあったかのように宣伝し、『極悪非道な日本軍』というイメージを定着させることで、子供が軍隊を嫌いになり、まっとうな国防意識を薄れさせることにつながるのである。軍=人殺し、といった観念を植え付ける。これを何とかしなければならない。横浜の日教組などは、自衛隊のイラク派遣問題についても、沖縄戦を引き合いに出し、軍は国民を守らないということを理由に挙げて反対している。嘘が本当になっているのはまずい。中学生の生徒はというと、日本軍が悪い、といったことが刷り込まれて進学してきている」
服部先生の授業内容については、著書『先生、日本のこと教えて』(扶桑社刊)及び、自由主義史観研究会の会報第九十二号、に詳述されているので、ここでは、概略にとどめたい。
授業の構成は、社会通念として定着していることをひっくり返す形になっている。服部先生の授業を受ける生徒は、それを楽しみにしている空気があると言う。そして服部氏の語り口、醸し出す雰囲気も生徒を引きつけるものがある。
まずは、集団自決事件として、真実であったかのように定着している事柄について、資料をもとに紹介していく。
「鉄の暴風」沖縄タイムス社・昭和二十五年「沖縄県史」全八巻から要約された資料を読む。
そこで、
「戦闘に関係ない一般住民に対して、軍隊が自決を強要したのはなぜですか」
「これが事実だとしたらどう思いますか」
服部先生より、発問が投げかけると、生徒側には事件の悲惨さと共に、軍隊に対する怒りがこみあげてくる。正義感の強い中学生ならなおさらであろう。
次に、渡嘉敷島、座間味島の順で、真相を解明していく。推理小説の謎解きに似ている。伏せてあるカードを一枚一枚明らかにしていくように、次第に事件の真相が明白になっていく。会場の参加者もうなづき、メモを取りながらそのからくりの妙に引き込まれていった。
真相は次の通りである
○渡嘉敷島の赤松隊長は、マスコミに教科書に殺人鬼のようにいわれながら、何も知らない子どもたちに嘘を教え込まれながらも、黙ったまま亡くなっていった。 無念さをかみしめながら、人生を閉じられた。
○座間味島の梅澤隊長の人生も、大変な辛酸をなめたが、三十五年後に真実を語ることができた。
○どちらも、援護法が、軍人や軍属を対象としていたので、その死が軍部とかかわるようにしなければ、集団自決した人々の遺族が補償金を受けることが出来なかったのだ。
○国の補償金を得るために、嘘の証言をし、その証言が拡大、定着してしまった。
生徒の感想が紹介された
★たとえ、自分の人生が最悪なものとなっても、遺族の悲しみを自分に背負って生きていらして立派だ。
★授業のはじめに、日本軍はひどい、と思った自分は恥ずかしい。みんなに嘘を吹き込んだことに腹がたちます。
★自分を犠牲にしてまでも、村を守ろうとされたのは、軍の隊長だけのことはある。戦争が終わったあとも、住民を守り続けたのはすごい。
服部氏は、この生徒の感受性にいたく感嘆されていた。参加者も、この中学生の感想のみずみずしさには、心を動かされたと思う。
終わりに、服部氏は、「旧軍人の中には、声をあがたくてもあげられない。ということがまだまだあると思います。それを明らかにしなくてはなりません」と結んだ。
会場での質疑応答
斎藤:集団自決のことは、沖縄タイムスの「鉄の暴風」が一番最初なのか。
服部:ある程度のストーリーは出来上がっていたようだ。それを補強する形で、宮城さんの証言は意味をもっていた。
茂木:「鉄の暴風」には、「梅澤少佐のごときが朝鮮人慰安婦と不明死をとげた」というでたらめな記述がある。これについて誰も何も言わないのはおかしいと思うがどうか。
服部:今では、その慰安婦のくだりは削除されている。(参加していた沖縄タイムスの方にその場で確認する)
不明発言者:授業の中で、「そろぞれの隊長が生き残っているのはなぜか」「戦争を継続するにはどのような経緯をたどったか」という質問が生徒から出てこなかったのか。
服部:その問題については、与えられた時間が限られているために、端折った形で話した。
複雑にからみあった問題を、一時間の授業にみごとに組み立てる氏の力量に感嘆したひとときであった。
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