温家宝首相への公開質問

茂木弘道(史実を世界に発信する会事務局長)

今年の4月11日、中国の温家宝首相が来日した。「南京事件の真実を検証する会」(会長:加瀬英明、事務局長:藤岡信勝)は、この機会を捉えて、温家宝首相に対して南京事件に関する6項目からなる公開質問状(添付)を提出した。  
6項目目は要望なので、質問自体は5項目である。見るとおり、どれも基本的な重要問題についての問いであり、温家宝首相としてはこのどれ一つにたいしてもとてもまともな回答はできないであろう。事実その後回答はない。

1、 毛沢東が生涯ただの一度も南京虐殺ということをいわなかったという事実。もし、「世紀の大虐殺」が本当に起こったとしたら、これについて全く何も言わないのはどうにも不可解なことである。知らなかった?延安にいた毛沢東だが、全国に共産党の地下組織網は張り巡らされていて、首都南京で何が起こったかなど情報はしっかりつかんでいた。実際南京戦については「持久戦論」の中でも触れていて、「日本軍は包囲は多いが殲滅が少ない」という批判をしている。虐殺情報があれば、日本非難宣伝に使わないはずがないし、そもそも一生どこでもいわないなどということがあるはずがない。共産党としてはこれには答えにくいだろうな、と同情したくなる。

2、 中央宣伝部国際宣伝処の極秘資料がでてきて、そこには南京戦を挟むほぼ一年間に300回の記者会見をしたことが書かれている。しかし、外国人記者を集めたこの300回の記者会見でただの一度も「南京で市民虐殺があった」だとか「捕虜の不法殺害をした」だとか言っていないのである。もし大虐殺が本当に起こっていたら、こんな馬鹿なことがありうるだろうか?答えられないでしょうな。

3、 安全区を管理していた国際委員会の記録が、Documents of the Nanking Safety Zone として1939年に、国民政府の国際問題研究所の監修で上海で出版された。そこに、人口は陥落前20万、12月中20万、そして陥落1ヵ月後には25万、と記録されていることはよく知られている。これもどう答えるのか見ものだが、答えようないだろう。

4、 さらに、Documents of the Nanking Safety Zone には、殺人件数は26件しか出てこない上に、目撃のあったものは1件のみ。それは合法的なものと書かれている。どこに大虐殺があるというのか?しかもこれは、国民党政府機関が監修した記録の本である。いくらうその達人でも答えようがないのでは?

5、 虐殺記念館に展示されている写真を含め、虐殺の証明として書籍などに出てくる内の写真で唯の一つも「虐殺を証明する」写真は存在しないことが今や「証明」されている。もし、これが虐殺を示している写真があるというなら出してほしい、と迫られて、これも困ったであろう。いつまでも一方的にうそ写真を本物と言い張れる状況ではなくなってきているのだ。  

これは公開質問状なので日本のメディア各社に公開したのはもちろん、外国人記者クラブのメンバー80名にもプレスリリースで配布されている。英訳、中国語訳(というより、これが温家宝首相に提出された正文)が日本語とともにリリースされた。早速 South China Morning Post 紙から、インタビューの申し込みがあり、藤岡教授と私が対応した。4月14日号に、インタビュー内容とともに、6項目の質問要旨もしっかり掲載された。かなりのスペースが割かれた記事であった。  

公開質問状は会のホームページに3カ国版が掲載されているが、私が事務局長を勤める「史実を世界に発信する会」のホームページでも掲載して世界に発信している。WiLL6月号には、「温家宝首相への公開質問状―南京大虐殺を証明できますか?」と題する文章を私が書いたが、この英訳もサイトに載せている。8月15日にロスアンジェルスで「今、何故、南京なのか?」というテーマでシンポジウムが行なわれた。パネリストの一人である、在米台湾人評論家のアンディ・チャン氏は、公開質問状を論の中でとりあげてくれた。  

この公開質問状は、積極的に内外、特に外国向けの南京問題の発信において取り上げ活用してほしいものである


★関連リンク:『史実を世界に発信する会』

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